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RFP(提案依頼書)の書き方|テンプレート付き実践ガイド

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鶴田 篤広

代表取締役

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9分で読めます

RFP(提案依頼書)の書き方|テンプレート付き実践ガイド - システム開発のRFP(提案依頼書)の書き方を、テンプレート付きで解説。ITに詳しくない方でも使える実...

開発会社への「伝え方」で悩んでいませんか?

  • 「Webアプリを開発したいけど、開発会社に何をどう伝えればいいか分からない」
  • 「見積もりを依頼したら『もう少し詳しく教えてください』と言われたけど、何を書けばいいの?」
  • 「RFPが必要らしいけど、テンプレートを探しても難しすぎて使えない」
  • 「社内にエンジニアがいないので、技術的なことは書けない」

開発会社に初めて相談するとき、何をどこまで伝えればいいのかは多くの方が悩むポイントです。

実は、日経コンピュータの調査では、スケジュール・コスト・満足度の3条件を満たした「成功」プロジェクトはわずか52.8%にとどまります。その失敗の主要因として繰り返し指摘されているのが、プロジェクト初期の要件の不明確さです。つまり、最初の伝え方を変えるだけで、プロジェクトの成功確率は大きく上がるのです。

その「伝え方」を体系的にまとめたものがRFP(提案依頼書)です。この記事では、ITに詳しくない方でもすぐに使えるテンプレートと、よくある失敗パターンを避けるためのポイントを解説します。

RFPとは? — 「やりたいこと」を伝える設計図

RFP(Request for Proposal / 提案依頼書)とは、システム開発を依頼する際に開発会社へ渡す書類です。

「こういうものが作りたい。あなたの会社ならどう作りますか? いくらかかりますか?」を、書面で伝えるための道具だと考えてください。

RFPがあると何が変わるのか

RFPなし RFPあり
開発会社への説明 口頭で毎回説明。伝えもれが起きやすい 書面で統一的に伝達。抜けもれを防げる
見積もりの精度 前提がバラバラで比較困難 同じ条件で比較できる
社内の合意形成 「何を頼むか」が曖昧なまま進む 関係者全員で認識を揃えられる
開発中のトラブル 「言った・言わない」問題が起きやすい 合意内容が文書として残る

RFPは開発会社のためだけでなく、自社の考えを整理するためのツールでもあります。書いてみると「実はここが決まっていなかった」という発見が必ずあります。

開発プロジェクトにおけるRFPの位置づけ

RFPと要件定義書の違い

混同されやすいですが、この2つは役割が違います。

  • RFP(提案依頼書): 発注者が作成。「こういうことを実現したい」を伝える書類。技術的な詳細は不要
  • 要件定義書: 開発会社と一緒に作成。RFPをもとに「具体的にどう作るか」を詰めた書類。技術的な内容を含む。

つまり、RFPは技術の専門知識がなくても書けるものです。むしろ、「ビジネスとして何を実現したいか」を一番よく知っているのは、技術者ではなく経営者や現場の担当者です。

RFPの構成 — 7つのセクション

RFPに決まったフォーマットはありませんが、以下の7セクションを押さえておけば、開発会社が精度の高い提案を出せるだけの情報が揃います。

RFPの7つのセクション構成図

1. プロジェクトの背景と目的

最も重要なセクションです。 「なぜこのシステムが必要なのか」を伝えます。

開発会社が知りたいのは機能の一覧ではなく、解決したい課題です。背景が分かれば、発注者が思いつかなかった解決策を提案できることもあります。

【記載例】
■ 現状の課題
・顧客情報をExcelで管理しているが、担当者ごとにファイルが分かれており、
  引き継ぎ時に情報が抜け落ちることがある
・月末の集計作業に毎回2営業日かかっている
・外出先から顧客情報を確認できず、商談前の準備に時間がかかる

■ このプロジェクトで実現したいこと
・顧客情報を一元管理し、誰でも最新情報にアクセスできる状態にする
・月末集計の工数を半日以内に短縮する
・スマートフォンからも顧客情報を閲覧できるようにする

ポイント: 「顧客管理システムが欲しい」ではなく、「今こういう問題があって、こう解決したい」と書く。課題から書くことで、開発会社がより良い解決策を提案できます。

2. 対象ユーザーと利用シーン

誰が、いつ、どこで、何のために使うのかを具体的に記載します。

【記載例】
■ 主なユーザー
・営業部メンバー(15名): 顧客情報の登録・更新・検索
・営業マネージャー(3名): チーム全体の活動状況の確認、レポート出力
・経理部(2名): 請求情報の確認(閲覧のみ)

■ 利用シーン
・オフィスでの通常業務(PC): 顧客情報の登録・編集、レポート作成
・外出先(スマートフォン): 顧客情報の閲覧、訪問記録の入力
・月末(PC): 月次レポートの自動生成、CSVエクスポート

この情報があると、開発会社は「PC中心の画面設計にするか、スマホ重視にするか」「権限管理をどの程度作り込むか」といった判断ができるようになります。

3. 実現したい機能

ここは「技術的な仕様」ではなく、ユーザーが何をできるようになりたいかを書きます。

機能の優先度を3段階で整理する

【記載例】
■ 必須機能(なければ困るもの)
・顧客情報の登録・編集・検索(会社名、担当者名、連絡先、商談履歴)
・商談の進捗ステータス管理(「初回接触→提案中→見積提出→成約/失注」)
・月次の営業レポート自動生成
・ユーザーごとの権限管理(閲覧のみ/編集可能/管理者)

■ あると嬉しい機能(優先度は低いが、将来的に欲しいもの)
・既存の会計ソフト(freee)との連携
・メールの自動取り込み
・AIによる成約確度の予測

■ 不要な機能(スコープ外)
・ECサイト機能
・一般ユーザー向けの公開ページ

「必須」「あると嬉しい」「不要」の3段階に分けるのがコツです。 これにより開発会社は、予算内で最大の効果を出す提案を組み立てやすくなります。

4. 予算とスケジュール

予算を伝えることに抵抗がある方もいますが、予算感を共有しないと、開発会社は提案の精度を上げられません

【記載例】
■ 予算
・初期開発費用: 300万〜500万円(税別)
・月額運用費用: 5万〜10万円程度を想定
・※ 上記は目安です。提案内容により柔軟に検討します

■ スケジュール
・RFP回答期限: 2026年4月15日
・開発会社の選定: 2026年4月末
・開発開始: 2026年5月
・リリース希望: 2026年9月(社内利用開始)
・※ フェーズ分けの提案も歓迎します

予算は幅を持たせて記載しましょう。「300万円ぴったり」と書くと、300万円の範囲でしかできない提案しか出てきません。幅を持たせることで、「400万円かかるが効果が大きい案」と「250万円でまず始める案」のように、選択肢のある提案が返ってきます。

5. 現在の環境と制約条件

既存システムとの連携や、社内ルールによる制約があれば記載します。

【記載例】
■ 既存環境
・現在の顧客管理: Excel(OneDrive上で共有)
・会計ソフト: freee
・メール: Google Workspace
・社内チャット: Slack

■ 制約条件(自社のセキュリティポリシーや取引先の要件に応じて記載)
・データは国内のサーバーに保管すること(社内セキュリティポリシーに基づく)
・既存のExcelデータ(約3,000件)を新システムに移行する必要あり
・社内でITインフラの管理ができないため、クラウドサービスが望ましい

6. 提案してほしい内容

開発会社に何を提案してほしいかを明確にします。

【記載例】
以下の内容を含む提案書をご提出ください。

1. 開発アプローチと推奨する技術構成(技術選定の理由も含む)
2. 開発体制(担当者の経験・スキル)
3. 開発スケジュール(マイルストーン付き)
4. 概算見積もり(工程別の内訳)
5. 類似プロジェクトの実績(規模感・業種が近いもの)
6. リリース後の保守・運用体制と費用
7. フェーズ分け開発の提案(一括開発との比較も歓迎)

7. 選定基準とスケジュール

どのような基準で選ぶのかを事前に伝えておくと、開発会社も的を絞った提案ができます。

【記載例】
■ 選定基準
・提案内容の実現性と課題への適合度
・コミュニケーションの質(説明の分かりやすさ、レスポンスの速さ)
・類似プロジェクトの実績
・費用の妥当性(最安値を選ぶわけではありません)
・保守・運用体制の充実度

■ 選定スケジュール
・提案書提出期限: 2026年4月15日
・質疑応答期間: 2026年3月25日〜4月5日
・プレゼンテーション: 2026年4月中旬(上位2〜3社)
・最終選定・通知: 2026年4月末

RFP作成でよくある5つの失敗

失敗1: 解決策から書き始めてしまう

NG: 「React + Node.jsで、マイクロサービスアーキテクチャの顧客管理システムを作ってください」

技術を指定してしまうと、開発会社の専門知識を活かした提案が出てこなくなります。ウェブで調べた技術用語を並べるよりも、「今Excel管理で困っていること」を具体的に書く方がはるかに有益です。

失敗2: 予算を隠す

「予算は提案を見てから決めます」と書く方がいますが、これは開発会社にとって非常に困ります。100万円なのか1,000万円なのかで提案の方向性がまったく変わるからです。

ざっくりでいいので予算感を示しましょう。正確な金額でなくても「200万〜400万円の範囲」のように幅を持たせれば十分です。

失敗3: 「あれもこれも」と機能を盛り込みすぎる

必須機能が30個も40個もあるRFPを見ると、開発会社は「このお客様は優先順位がついていない」と判断します。結果として、見積もりが膨らむか、重要な部分が薄まった提案が返ってきます。

「これがないと業務が回らない」機能を5〜10個に絞ることが大切です。残りは「あると嬉しい機能」に分類しましょう。

失敗4: 社内の合意がないまま送ってしまう

RFPを送った後に「実は営業部からも要望があって...」と追加要件が出てくるケースがよくあります。これは開発会社の信頼を損ない、スケジュールの遅延にもつながります。

RFPを送る前に、利用する部署全員に確認を取るステップを必ず入れてください。

失敗5: 1社にしか送らない

1社だけに相談すると、その会社の提案が妥当かどうかを判断する基準がありません。3社程度に同じRFPを送り、提案内容と費用感を比較することをおすすめします。

各社の提案を比較する際の具体的な観点については、開発会社の選び方を解説した以下の記事をご覧ください。

システム開発の外注で失敗しないために|開発会社の選び方5つのポイント

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システム開発の外注で失敗する確率は約5割。見積もりの読み方、準委任と請負の違い、開発会社選びのチェックリストまで、受託開発の現場経験をもとに経営者向けに解説します。初めての外注でも安心の実践ガイド。

RFP作成の3ステップ

RFP作成の3ステップ

RFPの完成度を最初から100%にする必要はありません。以下の3ステップで段階的に作成するのがおすすめです。

ステップ1: 社内ヒアリング(1〜2日)

システムを実際に使う部署やメンバーに、以下を聞いて回ります。

  • 今の業務で困っていること(具体的な場面)
  • 「こうなったら嬉しい」と思うこと
  • 絶対に外せない条件(セキュリティ、データ移行など)

ポイントは、現場の言葉をそのまま記録することです。「Excelが重くて開くのに30秒かかる」「月末に営業15人分のデータを手作業でまとめている」といった具体的なエピソードが、開発会社にとって最も価値のある情報です。

ステップ2: RFPの下書き(1〜2日)

上記のテンプレートに沿って、ヒアリング結果を整理します。この段階では完璧を目指さず、「書けるところから埋める」で十分です。

特に以下の3つは必ず記載してください(これだけあれば最低限のRFPとして機能します):

  1. 背景と目的 — なぜ作りたいのか
  2. 実現したい機能 — 何ができるようにしたいか(必須/あると嬉しい/不要の3分類)
  3. 予算とスケジュール — いくらで、いつまでに

ステップ3: 社内レビューと送付(1日)

下書きを関係者に回覧し、認識のズレがないか確認します。「この機能は本当に必須?」「この予算で大丈夫?」といった議論が出ることは健全なプロセスです。

合意が取れたら、3社程度の開発会社へ同時に送付しましょう。

RFPを出した後 — 提案書の読み方

RFPを送ると、2〜3週間後に各社から提案書が届きます。比較する際は、以下の観点で確認してください。

確認ポイント 良い提案の特徴 注意が必要な提案
課題理解 RFPの背景を踏まえた提案 背景に触れず機能だけ列挙
技術説明 非エンジニアにも分かる言葉 専門用語だらけ
見積もりの内訳 工程ごとに分かれている 「一式○○万円」のみ
リスクの説明 懸念点やリスクも正直に記載 すべて「対応可能」
フェーズ提案 段階的な開発を提案 全機能を一括見積もり
保守体制 具体的な体制と費用を明示 「別途ご相談」

こうした観点で比較した結果、「すべてを一括で作る」のではなく、まず情報の一元管理機能に絞って開発を開始し、段階的に機能を拡充していくアプローチを選ぶケースは少なくありません。最初から全機能を盛り込むよりも、優先度の高い課題から解決していく方が、リスクを抑えながら着実に成果を出せます。

提案書の費用を比較する際は、見積もり金額の裏にある前提条件の違いに注意してください。この点については、以下の記事で詳しく解説しています。

システム開発の費用はなぜ会社ごとに違う?|見積もり比較で損しないための基礎知識

システム開発の費用はなぜ会社ごとに違う?|見積もり比較で損しないための基礎知識

システム開発の見積もりが会社によって3〜5倍違うのはなぜ?費用の内訳、人月単価の相場、安い会社に頼むリスク、正しいコスト削減方法まで、受託開発の現場経験をもとに経営者向けに解説。見積書の読み方から比較のコツまで、実務に即した内容です。

まとめ

RFP(提案依頼書)は、難しい技術文書ではありません。「自社の困りごとと、実現したいことを整理して伝える」ための道具です。

押さえるべきポイントは3つです:

  1. 「何を作りたいか」ではなく「なぜ作りたいか」から書く — 課題の背景を伝えることで、より良い提案が返ってくる
  2. 機能は3段階で優先順位をつける — 「必須」「あると嬉しい」「不要」に分けて、予算内で最大効果を狙う
  3. 完璧を目指さない — 3ステップで段階的に作成し、社内の合意を得てから送付する

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よくある質問

RFP(提案依頼書)とは何ですか?
RFPは「Request for Proposal」の略で、システム開発を依頼する際に開発会社へ渡す提案依頼書です。プロジェクトの背景、目的、必要な機能、予算感、スケジュールなどをまとめた書類で、開発会社がこれをもとに提案書と見積もりを作成します。
RFPは必ず作らないといけませんか?
法的な義務はありません。ただし、RFPを作成することで、自社の要件が整理され、複数の開発会社から比較しやすい提案を受け取れます。特に予算が200万円を超えるプロジェクトでは、RFPの作成を強くおすすめします。
ITに詳しくなくてもRFPは書けますか?
はい、書けます。RFPで最も重要なのは技術的な仕様ではなく、『なぜ作るのか』『誰が使うのか』『何を実現したいのか』というビジネスの情報です。この記事のテンプレートに沿って書けば、ITの専門知識がなくても十分なRFPが作成できます。
RFPにはどのくらいの分量が必要ですか?
A4で5〜10ページ程度が目安です。背景・目的、対象ユーザー、実現したい機能、予算・スケジュール、現在の環境、提案してほしい内容、選定基準の7セクションを過不足なく記載することが重要です。
RFPを送る開発会社は何社が適切ですか?
3社程度が一般的です。2社だと比較が不十分で、5社以上だと各社への対応が大変になります。3社であれば、提案内容と費用感の比較がしやすく、やり取りの負荷も管理しやすいバランスです。

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