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システム開発の費用はなぜ会社ごとに違う?|見積もり比較で損しないための基礎知識

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鶴田 篤広

代表取締役

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更新日:

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システム開発の費用はなぜ会社ごとに違う?|見積もり比較で損しないための基礎知識 - システム開発の見積もりが会社によって3〜5倍違うのはなぜ?費用の内訳、人月単価の相場、安い会社に頼む...

同じシステムなのに、なぜ見積もりが3倍も違うのか

「3社に見積もりを出したら、100万・250万・500万と出てきた。どれが正しいんですか?」

システム開発の外注を検討し始めると、多くの方がこの壁にぶつかります。相場が分からないから判断できない。安い会社に頼みたいけど品質が心配。見積書の項目が専門用語だらけで、何にいくらかかっているのか分からない。

実は、同じ要件でも見積もりが3〜5倍開くのは、この業界では珍しいことではありません。これは開発会社が不誠実だからではなく、見積もりの「前提」が各社で大きく異なるためです。

この記事では、見積もりの金額差がなぜ生まれるのか、費用の内訳はどうなっているのか、そして「この見積もりは妥当なのか?」を自分で判断するための基礎知識を、現場経験をもとにお伝えします。

1. 見積もりがバラつく3つの理由

理由①「何を作るか」の解釈が各社で違う

同じ「顧客管理システムを作りたい」という依頼でも、開発会社によって想定する機能範囲はまったく異なります。

たとえば:

想定する範囲 A社(200万円) B社(500万円)
顧客情報の登録・編集
検索・絞り込み機能 簡易検索のみ 複合条件検索
CSV入出力 なし インポート・エクスポート対応
権限管理 なし 管理者・一般ユーザーの権限分離
スマートフォン対応 なし レスポンシブ対応
既存システム連携 なし 会計ソフト連携

A社は「最低限の顧客管理」を想定し、B社は「実際の業務で使える顧客管理」を想定しています。金額差は「何を含むか」の差であり、A社が安いとは限りません。

これを見極めるには、見積書の「前提条件」と「スコープ(作業範囲)」を必ず確認することが重要です。前提条件が書かれていない見積書は、それだけで注意が必要です。

理由② エンジニアの単価が違う

システム開発の費用は、「エンジニアの人月単価 × 工数(人月)」で算出されるのが一般的です。

人月単価とは、エンジニア1人が1ヶ月(約160時間)稼働した場合の費用のことです。この単価は、エンジニアの経験やスキルレベルによって大きく異なります。

複数の公開情報(発注ラウンジレバテックPRONIアイミツ等)および筆者の現場経験をもとにした目安です:

エンジニアのレベル 人月単価の目安
ジュニア(経験1〜3年) 40万〜65万円
ミドル(経験3〜5年) 65万〜80万円
シニア(経験5年以上) 80万〜120万円
プロジェクトマネージャー 70万〜130万円

ここで重要なのは、単価が高い=損ではないということです。

経験豊富なシニアエンジニアは、ジュニアの半分の時間で同等以上の品質のコードを書けることがあります。単価80万円のシニアが2ヶ月で完成させるシステムと、単価50万円のジュニアが4ヶ月かかるシステム。前者は160万円、後者は200万円です。単価ではなく、総額と品質で比較するべきです。

理由③ 開発手法・体制が違う

開発会社がどのような手法で開発を進めるかも、費用に影響します。

ウォーターフォール型(要件定義→設計→開発→テスト→リリースを順番に進める)の場合、前工程に時間と費用がかかります。要件定義書や設計書を綿密に作成するため、最初の見積もりは大きくなりがちですが、スコープが明確になるメリットがあります。

アジャイル型(小さな単位で設計→開発→テストを繰り返す)の場合、初期の見積もりは小さく出ることが多いですが、総額はプロジェクトの進み方によって変動します。

どちらが良い悪いではなく、自社の状況に合った手法を選んでいるかが重要です。要件が明確なら前者、要件を作りながら進めたいなら後者が向いています。

2. 費用の「内訳」を理解する

見積書の合計金額だけを見て判断するのは危険です。内訳を見て、「何に、どれだけの費用がかかっているか」を理解することが、妥当性を判断する第一歩です。

一般的なシステム開発の費用は、以下のような工程に分かれます(GeNEEビュルガーコンサルティング等の公開情報を参考にした目安です):

工程 費用の割合(目安) 内容
要件定義 10〜25% 「何を作るか」を整理・決定する
設計 15〜25% システムの構造・画面・データベースを設計する
開発(実装) 30〜40% 実際にプログラムを書く
テスト 15〜20% 動作確認・バグの発見と修正
インフラ・環境構築 5〜10% サーバーやネットワークの準備
プロジェクト管理 5〜15% 進捗管理・お客様との調整

ここが落とし穴

見積もりが安い会社は、どこかの工程を省いている可能性があります。

特に注意すべきは以下の2つです:

テスト工程が薄い、または含まれていない

テストは全体の15〜20%を占める重要な工程です。ここが「動作確認のみ」など極端に少ない場合、リリース後にバグが頻発するリスクがあります。テスト費用が削られている見積もりは、「安い」のではなく「品質リスクを先送りしている」だけです。

要件定義が含まれていない

「要件はお客様の方で決めてください」というスタンスの会社は、要件定義の工程が見積もりに入っていないことがあります。しかし、日経コンピュータの調査では、コスト超過プロジェクトの理由として「追加の開発作業が発生した」が64.4%で最多。その根本原因の多くは、要件定義の不足です。要件定義に適切な費用をかけることは、結果的にプロジェクト全体のコストを抑えることにつながります。

3. 「一番安い会社」に頼むとどうなるか

「3社の見積もりで一番安い会社を選ぶ」一見合理的に思える判断ですが、システム開発においては最もリスクの高い選び方です。

追加費用が積み重なるパターン

安い見積もりには理由があります。多くの場合、見積もり時のスコープが狭く設定されており、開発が進むにつれて追加費用が発生する構造になっています。

典型的な流れはこうです:

  1. 開発が始まると「この機能は見積もりに含まれていません」と言われる
  2. 仕様変更のたびに追加見積もりが必要になる
  3. 気づけば、最も高い見積もりを出した会社より総額が大きくなっている

筆者の現場経験では、要件が曖昧なまま開発を進めたプロジェクトで、必要工数が当初の1.3〜1.5倍に膨らんだケースを何度も見てきました。

品質問題が後から表面化するパターン

テスト工程を削って安くした見積もりの場合、リリース後に問題が噴出します:

  • 特定の操作でシステムがエラーになる
  • データが正しく保存されない
  • ブラウザやスマートフォンによって表示が崩れる

リリース後のバグ修正は、開発中の修正より高コストになります。すでに動いているシステムを壊さないよう慎重に進める必要があるためで、筆者の経験でも修正規模によっては数倍のコストがかかることがあります。「テスト費を削って安く済ませたはずが、修正費の方が高くついた」これは現場でよく目にする失敗パターンです。

保守・運用が切られるパターン

筆者の経験上、安い見積もりを出す会社ほど、リリース後の保守体制が薄い傾向があります。「作って納品したら終わり」というスタンスの会社に依頼すると、1年後にトラブルが起きても対応してもらえないケースがあります。

システムは作って終わりではなく、運用してからが本番です。見積もり段階で「リリース後の保守・運用体制」を必ず確認してください。

「総コスト(TCO)」で比較する

初期費用だけでなく、運用・保守費用を含めた総コスト(TCO: Total Cost of Ownership)で比較することをおすすめします。

比較項目 安い会社(初期200万) 適正価格の会社(初期350万)
初期開発費 200万円 350万円
仕様変更対応 追加80万円 軽微な変更は含む
リリース後のバグ修正 別途50万円 3ヶ月間の無料保守付き
1年目の運用保守 対応不可(他社に依頼) 月額3〜5万円
1年間の総コスト 330万円+他社移行費 386万〜410万円

※上記の数値は筆者の現場経験をもとにした参考例です。実際の費用はプロジェクトの規模・内容により大きく異なります。

一見、安い会社の方が得に見えますが、隠れたコストを考慮すると大きな差はなく、むしろ安い会社の方がリスクが高いことが分かります。

4. 費用を抑える「正しい」方法

「安い会社を選ぶ」のではなく、プロジェクトの進め方で費用をコントロールするのが正しいアプローチです。

方法① MVP開発で最小限から始める

全機能を最初から作るのではなく、最も重要な機能だけに絞って先に開発し、実際に使いながら改善を重ねるアプローチです。

たとえば業務管理ツールの場合:

  • Phase 1(1〜3ヶ月): 案件管理と顧客情報の基本機能だけを開発 → 費用目安 100万〜200万円
  • Phase 2(利用開始後1〜2ヶ月後): 実際に使って分かった改善点を反映。レポート機能や権限管理を追加
  • Phase 3以降: ビジネスの成長に合わせて段階的に拡充

このアプローチの最大のメリットは、初期投資を抑えつつ、早い段階で効果を実感できることです。全機能が揃うまで半年待つのではなく、3ヶ月後には業務改善が始まります。

MVP開発の進め方や費用感について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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方法② 機能の優先順位を明確にする

開発を依頼する際、すべての機能を横並びで要望するのではなく、3段階に分けて整理してください:

  1. 必須(Must Have): これがなければシステムの意味がない
  2. あると良い(Nice to Have): あれば便利だが、なくても業務は回る
  3. 将来対応(Future): 今は不要だが、将来的に必要になるかもしれない

この整理をするだけで、初期の開発スコープが大幅に絞れます。多くの場合、「あると良い」に分類される機能の半分以上は、実際には使われません。

方法③ 既存ツール・SaaSとの組み合わせ

すべてをゼロから作る必要はありません。

  • メール配信 → SendGridやAmazon SESなどの外部サービスを利用
  • 決済処理 → Stripeなどの決済プラットフォームを利用
  • ファイル管理 → Google DriveやDropboxとの連携

自前で開発する部分を「自社の業務フローに固有の機能」に絞り、汎用的な機能は既存サービスを活用することで、開発費用を大幅に削減できます。

「どの部分をSaaSで済ませ、どこを独自開発すべきか」の判断が難しい場合は、DXの基本的な考え方を知っておくと整理しやすくなります。

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まとめ:見積もり比較の5つのチェックポイント

見積もりを比較する際は、金額だけでなく以下の5点を確認してください。

  • スコープ(作業範囲)が明確か — 何が含まれていて、何が含まれていないかが書かれているか
  • 各工程の費用が分かるか — 要件定義・設計・開発・テスト・プロジェクト管理それぞれの内訳があるか
  • 追加費用の条件が明示されているか — 仕様変更や追加開発が発生した場合の費用ルールが書かれているか
  • テスト工程が十分に確保されているか — テスト費用が全体の15%以上あるか
  • リリース後の保守体制があるか — 運用開始後のサポート内容と費用が明記されているか

すべてに当てはまる見積書は、金額が多少高くても「適正な見積もり」です。 逆に、金額は安いがこれらが不明確な見積書は、後から想定外のコストが発生するリスクが高いと言えます。

開発会社の選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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見積もりの「セカンドオピニオン」、受け付けています

「見積もりを取ったけど、この金額が妥当なのか判断できない」そんなときは、セカンドオピニオンとしてご相談ください。

クレインテックは、代表の鶴田がシリコンバレー発のVMware Tanzu Labs(旧Pivotal Labs)で培った「小さく作って、使いながら育てる」開発手法をベースに、お客様のビジネス課題から一緒に整理するアプローチを大切にしています。

  • 見積もりの妥当性が分からない? 前提条件の読み方から一緒に確認します
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  • 他社の見積もりと比較したい? セカンドオピニオンとして率直にアドバイスします

見積書を1枚お持ちいただければ、初回のご相談(30分〜1時間程度・無料)でポイントをお伝えできます。「まだ比較検討を始めたばかり」という段階でも構いません。

よくある質問

システム開発の費用相場はどれくらいですか?
システムの種類により異なります。業務管理ツールで200万〜500万円、会員制Webサービスで300万〜800万円が目安ですが、機能の複雑さや開発手法で大きく変動します。見積もり金額だけでなく、前提条件と費用の内訳を確認することが重要です。
見積もりが会社によって大きく違うのはなぜですか?
主に3つの理由があります。①各社が想定する機能範囲(スコープ)の違い、②エンジニアの人月単価の違い、③開発手法・体制の違いです。金額だけでなく前提条件を比較することが重要です。
開発費用を抑えるにはどうすればいいですか?
安い会社を選ぶのではなく、プロジェクトの進め方でコントロールするのが正解です。MVP開発でフェーズ分割する、機能の優先順位を明確にする、SaaSとの組み合わせで開発範囲を絞るなどの方法があります。
見積もりのセカンドオピニオンはもらえますか?
開発会社によっては、他社の見積もりについて第三者視点からアドバイスを提供しているところがあります。前提条件の妥当性、含まれていない工程の有無、追加費用リスクなどを確認してもらうと、判断の助けになります。

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「こんなことできる?」「費用感を知りたい」「まだ漠然としているけど相談したい」どんな段階でもお気軽にご相談ください。

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