システム開発の費用はなぜ会社ごとに違う?|見積もり比較で損しないための基礎知識
システム開発の見積もりが会社によって3〜5倍違うのはなぜ?費用の内訳、人月単価の相場、安い会社に頼むリスク、正しいコスト削減方法まで、受託開発の現場経験をもとに経営者向けに解説。見積書の読み方から比較のコツまで、実務に即した内容です。

開発会社に見積もりを依頼したら、「アジャイルで進めましょう」と提案された。ネットで調べてみても、スプリント、スクラム、イテレーションと専門用語が並び、「結局、うちのプロジェクトにはどちらが合うのか」がわからない。そうした場面は珍しくありません。
IT業界で広く知られるStandish Groupの調査レポート(CHAOS Report 2020 "Beyond Infinity")では、アジャイルプロジェクトの成功率は42%であるのに対し、ウォーターフォールプロジェクトの成功率は13%にとどまったと報告されています。ただし、この数字はプロジェクトの性質を考慮しない単純比較であり、「アジャイルの方が優れている」とは言えません。どちらが適切かは、プロジェクトの性質によって決まります。
この記事では、IT知識がなくても理解できるように、両者の違いを比較表付きで整理し、「自社のプロジェクトにはどちらが合うのか」を判断するためのポイントをお伝えします。
ウォーターフォール開発は、建築の工程になぞらえると直感的に理解しやすい。全設計が固まってから工事を始め、前の工程には戻らないという考え方です。工程を順番に進め、前の工程に戻らないことを前提にしています。
要件定義 → 設計 → 開発 → テスト → リリース
各工程で成果物(仕様書、設計書など)をしっかり作成し、関係者の承認を得てから次の工程へ進みます。たとえば基幹システムの刷新では、会計ルールや業務フローを最初に網羅的に定義し、設計書を確定させてから開発に入ります。途中の変更は手戻りコストが大きいため、スタート前の仕様固めが成否を分けます。
メリット:
デメリット:
アジャイル開発は、全体を小さな単位に分けて、2〜4週間の周期(スプリントと呼ぶ)で「設計→開発→テスト→フィードバック」を繰り返す開発手法です。
「小さく作って、使いながら育てる」というのがこの手法の核心です。最初から全機能を完成させるのではなく、最も重要な機能だけを最初のスプリントで動くかたちにして、実際の使用感をもとに次のスプリントで改善・追加していきます。
2〜4週間の開発サイクルを繰り返す 計画 → 開発 → テスト → レビュー → 改善 → 計画 → ……
市場の反応を見ながら作れること、早い段階で動くものを手にできること、「全部作ったのに使われない」リスクを分散できること。これらがアジャイルの強みです。
ただし、注意点があります。最初に全仕様を確定しないため、最終的なスケジュールや総費用は読みにくくなります。また、定期的にレビューに参加してフィードバックを返すことが前提なので、発注側の関与なしには成立しません。動くソフトウェアを優先する性質上、仕様書が充実しにくいという側面もあり、内部統制や引き継ぎを重視する組織では事前に確認が必要です。
| 比較項目 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 進め方 | 全工程を順番に | 短い周期で繰り返し |
| 要件の決め方 | 最初にすべて決める | 段階的に決めていく |
| 開発期間(目安) | 6ヶ月〜1年以上 | 最初のリリースまで1〜3ヶ月 |
| 初期費用 | 大きい(全体を見積もる) | 小さく始められる |
| 途中の変更 | コストが大きい | 柔軟に対応できる |
| 発注者の関わり方 | 要件定義とテストが中心 | 開発期間中も継続的に関与 |
| リスク | 「作ったけど使われない」 | 「いつ完成するか見えにくい」 |
| ドキュメント | 充実している | 必要最小限になりがち |
| 向いているプロジェクト | 要件が明確・変更が少ない | 要件が不確定・変化が予想される |
最も重要な判断基準です。
IPAのソフトウェア開発分析データ集2022でも、要件管理に関する課題がプロジェクトの品質・生産性に影響を与えることが指摘されています。要件が曖昧なままウォーターフォールで進めると、手戻りが発生しやすくなります。
この1点だけで、手法の方向性はほぼ決まります。以下は補足的な確認事項です。
費用の見積もり方やシステム開発の費用構造について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
以下のチェックリストで、あなたのプロジェクトに適した開発手法を簡易的に判断できます。
ウォーターフォール向き:
アジャイル向き:
以下のフローチャートでも、簡易的に判断できます。

どちらにもチェックが入る場合は、次のセクションの「ハイブリッド型」が適している可能性があります。
筆者の経験では、純粋にウォーターフォールだけ、アジャイルだけで進むプロジェクトは少数派です。多くのプロジェクトでは、両者の要素を組み合わせた「ハイブリッド型」が採用されています。
たとえば、以下のような進め方です。
中小企業のシステム開発では、筆者は以下の組み合わせを推奨しています。
この進め方なら、予算の見通しが立てやすく、かつ途中での方向修正も可能です。
実際に弊社が支援したあるスタートアップの事業では、要件整理から設計・実装までを一貫して担当し、初期リリース後も1年以上にわたって継続的に改善を重ねています。最初から全機能を作るのではなく、核心的な価値を届ける機能から段階的に拡張することで、事業の成長に合わせた開発を実現しました。
開発会社から手法を提案される前に、発注側で整理しておくべき点があります。要件の確定度・予算の柔軟性・開発への関与度。この3点が決まっていれば、手法の選択は自然と絞られてきます。
手法を選ぶ前に確認しておきたいこと:
この4点を整理してから開発会社に相談すると、「アジャイルで進めましょう」という提案が自社のプロジェクトに合うかどうかを、自分で判断できるようになります。開発会社の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
開発手法の方向性が固まったら、次は開発会社への伝え方を整理するフェーズです。RFP(提案依頼書)の書き方については、こちらの記事で解説しています。
また、「まず小さく始めて、使いながら育てたい」とお考えなら、MVP開発というアプローチもあります。
クレインテックでは、代表の鶴田がVMware Tanzu Labs(旧Pivotal Labs)、グローバル企業のプロダクト開発を支援してきたシリコンバレー発のアジャイル専門組織でXP(エクストリーム・プログラミング:チームがペアを組んで開発・テストを短い周期で繰り返す手法)を実践した経験をもとに、お客様のプロジェクトの性質・予算・組織体制に合った進め方をご提案しています。
「開発会社にアジャイルを勧められたが、自社に合うか分からない」 「要件がまだ固まっていないが、どこから始めればいいか」
こうした段階からのご相談を歓迎します。初回のご相談(30分〜1時間程度)は無料です。お気軽にお問い合わせください。
「こんなことできる?」「費用感を知りたい」「まだ漠然としているけど相談したい」
どんな段階でもお気軽にご相談ください。
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